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成形エネルギーとストローク長さの調整

フリクションクラッチ式の場合

1 能力判定方法(呼称能力)

従来機であるフリクションクラッチ式では、下降のクラッチオンからフライホイールの回転(スライド速度)は加速を開始します。この加速直線を一定であると考えると(実際はフリクションディスクの周速差で加速直線の角度は多少変化しますが)ストローク長さを最大にセットし、加圧の直前までクラッチオンの状態にするとスライド速度は最大となり最大荷重が発生します。

これがこのプレスの持つ最大成形エネルギーとなります。スクリュープレスは速度調整ができ、成形エネルギーを最適に調整できます。一般にスライド速度を速度センサー(エンコーダー)で検知し、あらかじめ操作盤上のプリセットダイアル等でセットした速度値までスライド速度が立ち上がった時にクラッチオフの信号を出します。

速度設定ダイアル等を100%にセットすれば加圧直前までクラッチはオンのままで、最大ストローク長さの場合最大荷重が出ます。ダイアルを50%にセットすればスライドストロークの途中で速度が50%に立ち上がった時点で、クラッチオフとなり、あとは最終ストロークまで等速の惰走となります。またスライド上限のストローク調整スイッチを下げ、スライドのスタート位置を下にし、ストローク長さを短くした場合、加速距離が短い為、ダイアルは100%にしても50%にしても加速距離が等しいので荷重の差が無くなってしまう場合もあります。

この様に、成形荷重に関してはスライドの速度設定ダイアルとスライドのストローク長さ調整の双方から影響を受ける事になります。なお、以前はクラッチオンの期間を電気的タイマーで設定していた時期もありましたが、クラッチ部の摩擦熱の変動で摩擦伝達率が変化してしまい、同一時間のクラッチオンでは熱い場合は滑ってパワーが出ず、冷えている場合はパワーが出すぎるという不具合がありました。エネルギー制御は実際のスライド速度を検知する方式でなければいけません。

サーボモータ直動式の場合

この場合でも、最大成形エネルギーは、スライドストロークが最大で、速度設定が100%でないと発生しません。しかし最大エネルギーではない場合、スライドは減速するので、ストローク長さとの関係が少し複雑になります。

速度設定が100%である場合、スライドストローク長さは短くなればなる程、スライドの加速距離が短くなるので、加圧時の速度は遅くなり、したがって加圧エネルギーも小さくなります。スライドストロークを最大値に近く一定にセットした場合、速度設定を小さくするにつれ、スライドは加速の後に減速をし、プリセットされた速度設定に見合う速度(成形エネルギー)で加圧します。スライドストロークが短くセットされた場合は、速度設定が100%からスライドの助走距離が見合うまでは、加圧時の速度は変わりません。

つまり加速されたまま加圧になります。速度設定を小さくするにつれ、助走距離が必要なくなった時点以降は、加速・減速して加圧する事になります。スライド上昇時は、速度設定は必要無く、最適最高速度でスライドは上昇し、途中で減速をし、所定のスライド上限位置で停止します。停止位置は決してばらつきません。

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